日本語
@ こめんくださいまし。A 何をしていらっしゃいますか。お兄さま。
B 焦らないで、おくなんさいよ。
C 寒いので家に籠もっているのですよ。
D もし、おじさん。急かさないでくださいよ。
うちなあぐち
@ 来(ち)ゃあびらさい(たい)。A 何(ぬう)し歩(あ)っちょおみせえびいが、兄(やっちい)さい(たい)。
B 焦(あ)しがちえ、しんそおんなよおさい(たい)。
C 寒(ふぃ)いさぬ家籠(やあぐ)まいどぅそおいびいささい(たい)。
D さりさり、うんちゅうさい。あぎまあしんそおんなよおさり。
【解説】
「さい」は目上に対する呼びかけ語で、文末に付ける事によって、話し相手に対する敬語になります。女性は一応、「たい」を使います。この習慣は、元々、首里や那覇に限られていたのですが、芝居言葉等の影響もあって、表面的には「正規」の決まり事であるかのように定着してしまっています。ただ、地方の話者はいまだに男女共、「さい」又は「さり」を使います。
但し、学習沖縄語では首里・那覇語を中心に教えていますので、地方でも定着してしまった感があります。『沖縄語辞典』には「さらに高い目上には『さり(女性は「たり」)』を使う」との説明があります)が、実際には文頭に使う場合において、「さり」となり、文字通り「呼びかけ言葉」となります。祈願(御願)する際に、言う「さり、ううとうとぅ…」の「さり」は神仏への呼びかけ言葉となります。「さり」「たり」は、恐らく本来は、「さい」「たい」の古風な言い方なのかもしれません。
主に首里以外で使用される呼びかけ複合語「はいさい(はいたい)」における句末の「さい(たい)」もこの敬語と同じ語です。そして、呼びかけ語としての「はい」は通常は、単独では用いられない事から慣用的に一つの語として扱われてしまっています。また、「はい」に対応する呼びかけ語は首里語では「へえ」であるため、『沖縄語辞典』には「はいさい」・「はいたい」はありません。
例文A 「―し、歩っちゅん」は「―している」の意で、沖縄語独特の慣用的言い回しです。
例文B 「あしがち」は「焦り」、「やきもき」等の意味です。「あしがちすん」で「焦る」、「やきもきする」の意味。
「さい」は目上に対する呼びかけ語で、文末に付ける事によって、話し相手に対する敬語になります。女性は一応、「たい」を使います。この習慣は、元々、首里や那覇に限られていたのですが、芝居言葉等の影響もあって、表面的には「正規」の決まり事であるかのように定着してしまっています。ただ、地方の話者はいまだに男女共、「さい」又は「さり」を使います。
但し、学習沖縄語では首里・那覇語を中心に教えていますので、地方でも定着してしまった感があります。『沖縄語辞典』には「さらに高い目上には『さり(女性は「たり」)』を使う」との説明があります)が、実際には文頭に使う場合において、「さり」となり、文字通り「呼びかけ言葉」となります。祈願(御願)する際に、言う「さり、ううとうとぅ…」の「さり」は神仏への呼びかけ言葉となります。「さり」「たり」は、恐らく本来は、「さい」「たい」の古風な言い方なのかもしれません。
主に首里以外で使用される呼びかけ複合語「はいさい(はいたい)」における句末の「さい(たい)」もこの敬語と同じ語です。そして、呼びかけ語としての「はい」は通常は、単独では用いられない事から慣用的に一つの語として扱われてしまっています。また、「はい」に対応する呼びかけ語は首里語では「へえ」であるため、『沖縄語辞典』には「はいさい」・「はいたい」はありません。
例文A 「―し、歩っちゅん」は「―している」の意で、沖縄語独特の慣用的言い回しです。
例文B 「あしがち」は「焦り」、「やきもき」等の意味です。「あしがちすん」で「焦る」、「やきもきする」の意味。
【応用問題】
次の文を「さい」「たい」を使う文に直しなさい。
@ いぇえ、汝(やあ)ん、くまんかい、来(く)わ。
A 仕事(しくち)え、とぅめえたんなあ。
B あんまあ、ゑえしみせえびり(註)。
C あんな成ゆんでぃ、思(うむ)とおいびいたん。
答え:
@ さり、うんじゅん、くまんかいめんそおりさい(たい)。
A 仕事え、とぅめえいみそおちゃんなあさい(たい)。
B あんまあさい(たり)、ゑえしみせえびりさい(たい)。
C あん成ゆんでぃ、思とおいびいたんさい(たい)。
日本語意訳:
@もしもし、あなたも、こちらへお越しください。
Aお仕事はお探しになられましたでしょうか。
Bお母様、お休みなさいませ。
Cそうなると、思っていたのでございます。
註:「ゑえしみせえびり」は首里語で日本語の「おやすみ」を沖縄語読みしたものに「みせえびり」(第52講)が付いたものです。