日本語
@ お婆さんは三味線が鳴ったら、踊りました。A 父も三味線が鳴ったので、踊りました。
B おじいさんも御祝いしにいらっしゃいました。
C 先生も集会にいらっしゃいました。
D あのお方が学問を教えてくださいました。
E 聴衆は私の言うことを聞いて呉れました。
F あなた方のお母さんはお元気でしたよね。
G 私の叔父は、以前は医者でいらっしゃいました。
うちなあぐち
@ ぱあぱあや、三味線(さんしん)ぬ鳴(な)たれえ、舞(もう)いみそおちゃん。直A 父(すう)ん三味線ぬ鳴たくとぅ舞いみせえ(い)たん。間
B 御主前(うすめえ、うしゅめえ)ん、祝儀(しゅうじ、すうじ)しいが、もうちゃん。直
C 先生(しんしい)ん、揃(すり)いんかい、もういたん(もうゆたん)。間
D あぬっ人(ちゅ)ぬ墨習(しみなら)あち、うたびみそおちゃん。直
E ぐすうようや、我(わあ)が言(ゆ)し聴(ち)ちうたびみせえたん。間
F 汝(い)っ達(たあ)母(あんまあ)や、かなっとおみせえたんどおやあ。間
G 我(わ)っ達(たあ)叔父(をぅざ)さあや、前(めえ)や、医者(いしゃ)やらりいたん。間
【解説】
目上語の直接過去と間接過去の形です。使い方は通常の動詞における場合と同じように、「意味的」に使い分けます。
なお、「呉ゆん」の目上語である「たぼうゆん」は、実際には接続態、命令形、未然形(否定文など)以外は殆ど用いられませので、例文表示はしていませんが、直接過去は「たぼうたん」、間接過去は「たぼうゆたん(たぼういたん)」となります。
また、「たびゆん(賜う)」も文語のみで、使用例は殆どない事から、例文表示はしていませんが、直接過去は「たびたん」、間接過去は「たびゆたん」となります。
例文@ 目上語「みせえん」の場合の例。みせえん(終止形)、みせえたん(直接)、みせえいたん(間接)
例文A「もうゆん(もういん)」の場合の例。もうゆん(もういん)、もうちゃん、もうゆたん(もういたん)。
例文D「うたびみせえん」の場合の例。うたびみせえん、うたびみそうちゃん、うたびみせえ(い)たん。
例文F「やみせえん」は存在動詞「やん」の連用形「や」に「みせえん」が付いた形です。「みせえん」自体には直接過去と間接過去の別がありますが、存在動詞が主ですので見かけ上は間接過去のみとなります。
例文G「やらりいん」の意味は「やみせえん」と同じ。存在動詞「やん」の連用形に目上語「らりいん」が付いたものです。都市部では用いられてないようです。存在動詞が主ですので直接過去と間接過去の別はありません。なお、「をぅざさあ(「伯叔父」)の呼びかけ言葉は「うんちゅう」、「うふうんちゅう(伯父)」、「うんちゅうぐぁあ(叔父)」等。
目上語の直接過去と間接過去の形です。使い方は通常の動詞における場合と同じように、「意味的」に使い分けます。
なお、「呉ゆん」の目上語である「たぼうゆん」は、実際には接続態、命令形、未然形(否定文など)以外は殆ど用いられませので、例文表示はしていませんが、直接過去は「たぼうたん」、間接過去は「たぼうゆたん(たぼういたん)」となります。
また、「たびゆん(賜う)」も文語のみで、使用例は殆どない事から、例文表示はしていませんが、直接過去は「たびたん」、間接過去は「たびゆたん」となります。
例文@ 目上語「みせえん」の場合の例。みせえん(終止形)、みせえたん(直接)、みせえいたん(間接)
例文A「もうゆん(もういん)」の場合の例。もうゆん(もういん)、もうちゃん、もうゆたん(もういたん)。
例文D「うたびみせえん」の場合の例。うたびみせえん、うたびみそうちゃん、うたびみせえ(い)たん。
例文F「やみせえん」は存在動詞「やん」の連用形「や」に「みせえん」が付いた形です。「みせえん」自体には直接過去と間接過去の別がありますが、存在動詞が主ですので見かけ上は間接過去のみとなります。
例文G「やらりいん」の意味は「やみせえん」と同じ。存在動詞「やん」の連用形に目上語「らりいん」が付いたものです。都市部では用いられてないようです。存在動詞が主ですので直接過去と間接過去の別はありません。なお、「をぅざさあ(「伯叔父」)の呼びかけ言葉は「うんちゅう」、「うふうんちゅう(伯父)」、「うんちゅうぐぁあ(叔父)」等。
【応用問題】
次の間接過去を直接過去に直しなさい。不可の場合はその旨、記しなさい。
@ 我(わ)っ達(たあ)うじふじ御主前(うしゅめえ)や、武士(ぶし)やみせえたんどお。
A 社長や皆(んな)んかい高手間(たかでぃま)呉(くぃ)てぃうたびせえたん。
B 姉(あばあ)がまあさコーヒー支(し)しこうてぃ、呉(くぃ)みせえたん。
C 婆前(はあめえ)や、ゆかいうっさ、歩(あ)っちみせえたさ。
D 父(すう)友(どぅし)ん達(ちゃあ)ぬ、いちゃっさきい、もうゆたん。
答え:
@ 不可(主な動詞が存在動詞なので)
A うたびみそうちゃん。
B 呉みそおちゃん。
C 歩っちみそおちゃさ。
D もうちゃん。
日本語訳:@私達の従祖父は腕利きでいらっしゃいましたよ。A社長は皆に高給を支給なさいました。B姉がおいしいコーヒーをつくってくれました。Cおばあさんはかなり歩かれましたよ。D父の友だちも大勢いらっしゃいました。
次の間接過去を直接過去に直しなさい。不可の場合はその旨、記しなさい。
@ 我(わ)っ達(たあ)うじふじ御主前(うしゅめえ)や、武士(ぶし)やみせえたんどお。
A 社長や皆(んな)んかい高手間(たかでぃま)呉(くぃ)てぃうたびせえたん。
B 姉(あばあ)がまあさコーヒー支(し)しこうてぃ、呉(くぃ)みせえたん。
C 婆前(はあめえ)や、ゆかいうっさ、歩(あ)っちみせえたさ。
D 父(すう)友(どぅし)ん達(ちゃあ)ぬ、いちゃっさきい、もうゆたん。
答え:
@ 不可(主な動詞が存在動詞なので)
A うたびみそうちゃん。
B 呉みそおちゃん。
C 歩っちみそおちゃさ。
D もうちゃん。
日本語訳:@私達の従祖父は腕利きでいらっしゃいましたよ。A社長は皆に高給を支給なさいました。B姉がおいしいコーヒーをつくってくれました。Cおばあさんはかなり歩かれましたよ。D父の友だちも大勢いらっしゃいました。