うちなあぐち
@ 子(くぁ)大和(やまとぅ)んかい遣(や)らちゃしが如何(ちゃあ)がそおら肝(ちむ)ん肝ならぬ。A うんじゅが歌聴(うたち)ちいねえ、肝潤(ちむうら)らきらりゆさ。
B 哀(あわ)りそおる人(ちゅ)ん達(ちゃあ)んかい肝呉(ちみくぃ)てぃ取(とぅ)らしよおやあ。
C 肝(ちむ)ふずる迄(までぃ)、食(か)でぃん済(し)むんどおやあ、童(わら)ん達(ちゃあ)。
D 彼(あり)ぬ事聞(くとぅち)ちいねえ、肝(ちむ)あまじし、物(むぬ)ん食(か)まらんむん。
E でぃか、まじゅん、酒小(さきぐぁあ)やてぃん飲(ぬ)でぃ、肝直(ちむのお)さな。
F 女(ゐなぐ・)お子(くぁ)ぬ居(をぅ)らんなてぃから今(なま)ちきてぃ、肝抱(ちむだ)ちょおん。
日本語
@ 子を本土に行かしたが、どうしているのかしのびない。A あなたの歌を聴けば、心が癒されるよ。
B 哀れな人々に哀れんでおくれよね。
C 満足するまで食べて良いよ、子供たち。
D 彼の事を聞けば、動揺し、飯も喉をとおらないのだ。
E さあ、ちょっと酒でも飲んで、機嫌を直そうではないか。
F 女は子を失ってから、いまだに悲しみに呉れている。
【解説】
「肝」は「肝臓」、「食べ物としての肝臓」としての意味の他、「心、心情、情け、精神」という意味があります。「心(くくる)」も同じ意味を持ちますが、「肝」の方が多く使われます。その関連句は「肝語」と称される事があります。「肝語」は他の慣用句・言い回しより数が群を抜いて多いです。これも琉球民族の心情の反映なのでしょうか。
例文@ 最近は「肝ん肝ならぬ」は「肝ん肝ならん」が普通です。「心が落ち着かない」、「心も心にならない」等の意味があります。「大和」は「薩摩」を意味し、日本全体は「大大和(うふやまとぅ)」とされていますが、ここでは古い『辞書(沖縄語辞典等)』にこだわらず、使用実態に重きを置き、「日本本土」という意味で使用します。
例文A 例文の句は「心を洗い流す、洗い清める」等の意味です。「うらあきゆん」は単独では「水に浸す」、「潤す」等の意味です。
例文B 例文の句に日本語訳は「情を掛ける」の意味でもよいのですが、その逆訳である慣用句の「情掛きゆん」よりはもっと重みが感じられます。
例文C 「肝ふじゅん」の「ふじゅん」は例文にある句のみに用いられ、単独では用いられません。
例文D 「あまじゅん」は、「揺れ動く」等の意味です。「愛の雨傘」という民謡の歌詞に「我肝(わちむ)あまがする悪魔女(あくまゐなぐ)(私の心を動揺させる悪戯女)」というのがあります。
例文F 「居らんなゆん」は「居なくなる」ですが、慣用的に「死なれる、(失う)」の意味にも使われます。『沖縄語辞典』にはその意味の慣用句としてはありません。また、「肝抱かりゆん」と受動態にすると、「悲しみに閉ざされる」等の意味となります。
「肝」は「肝臓」、「食べ物としての肝臓」としての意味の他、「心、心情、情け、精神」という意味があります。「心(くくる)」も同じ意味を持ちますが、「肝」の方が多く使われます。その関連句は「肝語」と称される事があります。「肝語」は他の慣用句・言い回しより数が群を抜いて多いです。これも琉球民族の心情の反映なのでしょうか。
例文@ 最近は「肝ん肝ならぬ」は「肝ん肝ならん」が普通です。「心が落ち着かない」、「心も心にならない」等の意味があります。「大和」は「薩摩」を意味し、日本全体は「大大和(うふやまとぅ)」とされていますが、ここでは古い『辞書(沖縄語辞典等)』にこだわらず、使用実態に重きを置き、「日本本土」という意味で使用します。
例文A 例文の句は「心を洗い流す、洗い清める」等の意味です。「うらあきゆん」は単独では「水に浸す」、「潤す」等の意味です。
例文B 例文の句に日本語訳は「情を掛ける」の意味でもよいのですが、その逆訳である慣用句の「情掛きゆん」よりはもっと重みが感じられます。
例文C 「肝ふじゅん」の「ふじゅん」は例文にある句のみに用いられ、単独では用いられません。
例文D 「あまじゅん」は、「揺れ動く」等の意味です。「愛の雨傘」という民謡の歌詞に「我肝(わちむ)あまがする悪魔女(あくまゐなぐ)(私の心を動揺させる悪戯女)」というのがあります。
例文F 「居らんなゆん」は「居なくなる」ですが、慣用的に「死なれる、(失う)」の意味にも使われます。『沖縄語辞典』にはその意味の慣用句としてはありません。また、「肝抱かりゆん」と受動態にすると、「悲しみに閉ざされる」等の意味となります。
【応用問題】
次の文を日本文に直しなさい(意訳でもよいです)。
@ 婆前(はあめえ)や肝抱(ちむだ)かってぃ、物(むぬ)考(かんげ)えんならんなとおん。
A 諸(むる)が肝(ちむ)ふじゅんねえし、配(は)じ取(とぅ)らさんなあ。
B 初(はじ)み(め)え、肝(ちむ)あまじさしが、半(なか)らから慣(な)りてぃちゃん。
C 人(ちゅ)ぬ事思(くとぅうむ)ゆる肝(ちむ)ぬあれえ、肝呉(くぃ)ゆる事(くとぅ)んなゆん。
D 孫(んまが)ん達(ちゃあ)とぅ遊(あし)びいねえ、肝(ちむ)どぅうらあきらりゆる。
答え:
@ お婆さんは悲しみ暮れて、頭も混乱してしまっている。
A 全員が満足のいくように分配してくれないかね。
B 最初は動揺したが、途中から慣れてきた。
C 人の事を考える心があれば、人を哀れむ事もできる。
D孫たちと遊べば、心も清らかになれる(意訳)。
次の文を日本文に直しなさい(意訳でもよいです)。
@ 婆前(はあめえ)や肝抱(ちむだ)かってぃ、物(むぬ)考(かんげ)えんならんなとおん。
A 諸(むる)が肝(ちむ)ふじゅんねえし、配(は)じ取(とぅ)らさんなあ。
B 初(はじ)み(め)え、肝(ちむ)あまじさしが、半(なか)らから慣(な)りてぃちゃん。
C 人(ちゅ)ぬ事思(くとぅうむ)ゆる肝(ちむ)ぬあれえ、肝呉(くぃ)ゆる事(くとぅ)んなゆん。
D 孫(んまが)ん達(ちゃあ)とぅ遊(あし)びいねえ、肝(ちむ)どぅうらあきらりゆる。
答え:
@ お婆さんは悲しみ暮れて、頭も混乱してしまっている。
A 全員が満足のいくように分配してくれないかね。
B 最初は動揺したが、途中から慣れてきた。
C 人の事を考える心があれば、人を哀れむ事もできる。
D孫たちと遊べば、心も清らかになれる(意訳)。