うちなあぐち
@ 只(ただ)んちょおん、いんちゃさる命(ぬち)、大切(てえしち)に貯(た)ぶら。A 命切(ぬちち)り業(わざ)さあに、命取(ぬちとぅ)たん。
B 病院(びょういん)迄(まで)え、やっぱとおたしが、如(ちゃあ)ならな命切(ぬち)りたん。
C 消防隊(しょうぼうてえ)や人(ちゅ)ぬ命助(ぬちだし)きする事(くとぅ)がる仕事(しぐと、しくち)やる。
D 昔(んかし)ぬ唐旅(とうたび)え、命(ぬち)とぅ覚悟(かくがあ、かくぐう)やたんでぃぬ事(くとぅ)やん。
E 後窪(うしるくぶう)や命所(ぬちどぅくる)やくとぅ、いちゃんだん、打(う)つな
F 生(い)ちち道(みち)、習(なら)あち取(とぅ)らする人(ちゅ)がる命(ぬち)ぬ親をぅや)やる。
G 命(ぬち)どぅ宝(たから)やる。生(い)ちちょおれえ、良(い)い事(くとぅ)んまんどおん。
日本語
@ ただでさえ短い命、大切に生きながらえよう。A 命がけの仕事で命を落とした。
B 病院迄は頑張っていたが、どうしようもなくこと切れた。
C 消防隊は人命救助が仕事なのである。
D 昔の中国旅は命がけだったそうだ。
E 後頭部は急所だから悪戯に打つな。
F 生きる術(方法)を教えてくれる人こそ命の恩人である。
G 命こそ宝なのだ。生きていれば良い事も多い。
【解説】
「命どぅ宝」(例文G)には単に「命を大事に」という意味合より戦争に「命を捧げない」、「落とさない」という反戦的意味と「命を守る」という積極的意味があります。明治政府による琉球併合の際、最後の中山(琉球)国王だった尚秦王の「芝居の中の台詞」に由来するとされます。「命」は文語では「いぬち」です。「命語」については、説明無しでも分かるもの、何となく分かるもの、意外な意味合いがあるものもありますが、何れもなるほどと思います。
例文@「命たぶゆん」は「命を貯・溜める」の意味。「命を危険に晒さず惜しむように生きる」の意味合いがあります。
例文A「肝取ゆん」は慣用的に例文の様な意味になります。「命を取る」の意味では「命取(ぬちとぅ)らりゆん」となります。
例文B「命切りゆん」は単に「死ぬ」意味でよいのですが、「伸びきった糸が切れる様に絶命する」等の意味です。
例文C例文では「人ぬ命助き」とありますが、「命助き」は「人の命を助ける」意味で使われます。
例文D「命とぅ覚悟」の「とぅ」は並列を表わす助詞ではなく、「について、に対して」という意味があります。他例:「むんとぅ無礼」(食べ物に対して失礼)。
例文E「命所」は「命に関わる所」という意味です。日本語では「急所」という漢語がぴったりですが、沖縄語には「やまとことば」的な表現が健在だといえます。
例文F「命ぬ親」は「人」に対して使います。単なる「恩人」は「恩(うん、をぅん)ぬあるっ人(ちゅ)」です。
「命どぅ宝」(例文G)には単に「命を大事に」という意味合より戦争に「命を捧げない」、「落とさない」という反戦的意味と「命を守る」という積極的意味があります。明治政府による琉球併合の際、最後の中山(琉球)国王だった尚秦王の「芝居の中の台詞」に由来するとされます。「命」は文語では「いぬち」です。「命語」については、説明無しでも分かるもの、何となく分かるもの、意外な意味合いがあるものもありますが、何れもなるほどと思います。
例文@「命たぶゆん」は「命を貯・溜める」の意味。「命を危険に晒さず惜しむように生きる」の意味合いがあります。
例文A「肝取ゆん」は慣用的に例文の様な意味になります。「命を取る」の意味では「命取(ぬちとぅ)らりゆん」となります。
例文B「命切りゆん」は単に「死ぬ」意味でよいのですが、「伸びきった糸が切れる様に絶命する」等の意味です。
例文C例文では「人ぬ命助き」とありますが、「命助き」は「人の命を助ける」意味で使われます。
例文D「命とぅ覚悟」の「とぅ」は並列を表わす助詞ではなく、「について、に対して」という意味があります。他例:「むんとぅ無礼」(食べ物に対して失礼)。
例文E「命所」は「命に関わる所」という意味です。日本語では「急所」という漢語がぴったりですが、沖縄語には「やまとことば」的な表現が健在だといえます。
例文F「命ぬ親」は「人」に対して使います。単なる「恩人」は「恩(うん、をぅん)ぬあるっ人(ちゅ)」です。
【応用問題】
次の文を太字部分の意味に近い語句を例文を参考に言い換えなさい。
@ 命(ぬち)え粗(す)そおん軽(かろ)おんさんようい、大切(てえしち)にさびら。
A 人(ちゅ)ぬ命救(ぬちすく)いねえ、自(どぅ)ん助(たし)きらりゆん。
B あぬっ人(ちょ)お我(わあ)命(ぬち)ぬ恩(うん)ぬあるっ人(ちゅ)なとおん。
C 医者あ自(どぅう)ぬ命(ぬち)ぬ事(くとぅ)ん考(かんげ)えらんぐうとぅうし、うみはまとおん。
D 胴(どぅう)まある(ろ)(胴まあどぅ(ど))お諸(むる)、命(ぬち)とぅ係(かか)わいぬある所(とぅくる)なとおん。
答え:
@ 貯(た)ぶとおちゃびら。
A 命助(ぬちたし)きしいねえ。
B 命(ぬち)ぬ親(をぅや)。
C 命(ぬち)とぅ覚悟(かくぐう、かくがあ)し。
D 命所(ぬちどぅくる)。
日本語意訳:
@命は粗末にせず大切にしましょう。
A人の命を救えば自分も助けられる。
Bあの人は私の命の恩人である。
C医者は自分の命を顧みず頑張っている。
D胴体は全て急所である。註:「胴まある」は『沖縄語辞典』にはありません。
次の文を太字部分の意味に近い語句を例文を参考に言い換えなさい。
@ 命(ぬち)え粗(す)そおん軽(かろ)おんさんようい、大切(てえしち)にさびら。
A 人(ちゅ)ぬ命救(ぬちすく)いねえ、自(どぅ)ん助(たし)きらりゆん。
B あぬっ人(ちょ)お我(わあ)命(ぬち)ぬ恩(うん)ぬあるっ人(ちゅ)なとおん。
C 医者あ自(どぅう)ぬ命(ぬち)ぬ事(くとぅ)ん考(かんげ)えらんぐうとぅうし、うみはまとおん。
D 胴(どぅう)まある(ろ)(胴まあどぅ(ど))お諸(むる)、命(ぬち)とぅ係(かか)わいぬある所(とぅくる)なとおん。
答え:
@ 貯(た)ぶとおちゃびら。
A 命助(ぬちたし)きしいねえ。
B 命(ぬち)ぬ親(をぅや)。
C 命(ぬち)とぅ覚悟(かくぐう、かくがあ)し。
D 命所(ぬちどぅくる)。
日本語意訳:
@命は粗末にせず大切にしましょう。
A人の命を救えば自分も助けられる。
Bあの人は私の命の恩人である。
C医者は自分の命を顧みず頑張っている。
D胴体は全て急所である。註:「胴まある」は『沖縄語辞典』にはありません。