うちなあぐち
@ あんし、朝寝(あさに)しいねえ、目虫(みいむし)ぬ這(ほ)うゆんどお。A 政府(しいふ)お沖縄(うちなあ)の総考(すうかんげ)えや目(みい)ぬ尻(ちび)しん見(ん)だん。
B 目(みい)いんでえぬ出(ん)じてぃ、目姦(みいかしま)さぬないびらん。
C うたてぃ、目(みい)だっさんあい、目皮(みいがあ)んふぃっ込(く)どおん。
D あんし、目(みい)ぐるぐるまあいし、何(ぬう)とぅめえとおが、汝(やあ)や。
E くぬ病(やんめえ)、くん直(のお)ちゃんでえ、目張(みいは)い事(ぐとぅ)どぅやる。
F 目(みん)ちゃんちゃんなち、根性(くんじょう)叫(あ)びいすし(せ)え風儀(ふうじ)ん無(ね)えん。
G 目(みい)ぬ敵(かな)あな何(ぬう)んくぃん、目(みい)くんだあなてぃどぅ見(み)いゆる。
日本語
@ そんなに、朝寝坊すると、目に虫が這うぞ。A 政府は沖縄の世論は(軽蔑して)無視している。
B ものもらいが出来て、目が煩わしいです。
C 疲れて、目もだるいし、瞼もへこんでいる。
D そんなにきょろきょろして、何を捜しているのか、君。
E この病から持ち直したとは、意外な事だ。
F 目をぎょろつかせて、怒声を浴びるのは見っともない。
G 目視力が衰えて、何もかも、見てはっきりしない。
【解説】
例文以外の目の部位を表わす語である「目元(みむとぅ)」、「目(みい)ぬ芯(しん)(瞳)」、「目眉(みいまゆ)」、「目玉(みんたま)」等や関連語である「目糞(みいくす)」、「目(みい)こうがあ(目窪み)」、「目窪(みいくぶう)(目が窪んでいる者)」、「目涙(みいなだ)(涙)」等の紹介は省略します。
例文@「目虫ぬ這うゆん」は朝寝坊を嘲る慣用句です。
例文A「目ぬ尻」は「目尻(まなじり)」。「目ぬ尻しん見だん」は「(あなどって)無視する」、「眼中におかない」の意味です。
例文B「目(みい)んでえ」は「ものもらい」。地方によっては「目(み)んだい」。「目姦さん」は「目が煩わしい」「見るに堪えない」。
例文C「目だっさん(首里語は『目だるさん』)」は「目がだるい」。「目皮」は「瞼」。「目皮ぬふぃっ込むん」は疲労等で「瞼がへこむ事」。逆に「目皮ぬ起りゆん」は「(元気が回復して再び)瞼が盛り上がる」の意味となります。「目返らあ」ともいう。
例文D「目ぐるまあい」は前講の「目ぐるぐるう」と共通の意味もありますが、ここでは「目をきょろきょろ」の意味。
例文E「目張い事」は「目を見張るような事」つまり「意外性があり驚くべきような事」の意味です。
例文F「目ちゃんちゃんなすん」は「目をぎょろぎょろさせる」の意味。
例文G「目ぬ敵ゆん」は「目が健康である」。「胴がな敵ゆん」は「体全体が健康である」。「敵あっとおみ」は「元気ですか」ぐらいの意味。例文の「敵あな」は「敵わず」の意味。「目くんだあ」は「見てもはっきりしないもの」の意味。
【応用問題】
例文等を参考に、次の文中の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(目ぬ尻しん見だん、目張い事。目ぬふぃっ込どおいびいん、目姦さん、目ぬ敵あな)
@ 難(むち)しいっ人(ちゅ)ぬ、胴(どぅう)持(む)ち外(はん)でぃとおんでえ、思寄(うみゆ)ゆらん事(くとぅ)やん。
A 我(わん)ねえ、あいゆかん、うたてぃ、目(みい)返(けえ)らあなとおいびいん。
B 年寄(とぅすい)ぬ面(ちら)あ見(み)いちゃくんねえんでぃ言(ゆ)しが、却(けえ)てえちびらあさん。
C 近頃(ちかぐる)お目ぬ悪っさなやあに、書物(しゅむち)ぬ字(じい)ん、見(ん)じい難(ぐり)さいびいん。
D 年寄(とぅすい)ぬ持(む)ち過(くぁ)そおてぃん、見(ん)だんでぃんさん、くぬ悪魔(あくま)ひゃあ。
答え:
@ 目張い事。
A 目ぬふぃっ込どおいびいん。
B 目姦さん。
C 目ぬ敵あな。
D 目ぬ尻しん見だん。
日本語意訳
@優秀な人が身を持ち崩すとは以外な事だ。
A私はとても疲れて、目がだるいです。
B老人の顔は見るに堪えないというより寧ろ素晴らしい。
C近頃は目が悪くなり、本の文字も見辛いです。
D年寄りが荷を持ち過ぎても見ない振りして、この意地悪者奴。