日本語
@怠けていても、賃金は同じかい。Aもう、いいかい、おじいさん。
B散らかっているいるのは、彼の部屋か。
Cパソコンというのは、これか。
D新垣というはあなたの名前かい。
うちなあぐち
@油断(ゆだん)そおてぃん、手間(てぃま)あ同(い)ぬむんい。Aなあ、とうい、うすめえ、御主前(うしゅめえ)。
Bやまがりとおしえ、彼(あり)が座(ざあ)い。
Cパソコンんでぃしえ、くりい。
D新垣(あらかちい)んでぃしえ、うんじゅが名(なあ)い。
【解説】
前講にあるように名詞に直接付く疑問詞「い」は地方では、一部が慣用的に使われている他はあまり使われていません。多くは名詞とこの疑問詞「い」の間に存在動詞を介在させる言い方「―やみ」(存在動詞「やん」+疑問助詞「み」)が使われます。後者の方が発音が明確でもあります。本講で扱う「い」は「―やみ」に比べると軽い疑問であり、存在動詞を略する事で、その丁寧な言い方(丁寧文)も定かでなく、柔らかい表現をする「なあ」や感嘆詞「てえ」を付ける事ができない窮屈な表現となります。日本語訳としては軽い疑問を表わす「―かい」が適切かもしれません。
例文@ 「油断」は「油断」という意味の他、「怠慢」という意味にも転用されています。
例文B 「やまがりとおん」は「やまがりゆん」の進行形です。「やまがりゆん」は『沖縄語辞典』にはありませんが、「やま(野生、野蛮等)」から「やまちりゆん(混乱する、収拾がつかなくなる等)」と関係ある語です。
例文C 「パソコンでぃしえ」は厳密には「パソコン んでぃしえ」となりますが、「ん」の連続をさけた表記にしてあります。
例文D 「新垣」は平民は「あらかちい」と語尾を引っ張り、士族は「あらかち」と語尾を短く言ったとの事です。平民しかいない現代ですが、私たち平民は今でも語尾を伸ばして言います。例えば、私(比嘉清)は、小学校の頃から現代に至るまで、同級仲間から呼ばれる場合は性は「ふぃざあ」、名は「きよしい」なのです。
前講にあるように名詞に直接付く疑問詞「い」は地方では、一部が慣用的に使われている他はあまり使われていません。多くは名詞とこの疑問詞「い」の間に存在動詞を介在させる言い方「―やみ」(存在動詞「やん」+疑問助詞「み」)が使われます。後者の方が発音が明確でもあります。本講で扱う「い」は「―やみ」に比べると軽い疑問であり、存在動詞を略する事で、その丁寧な言い方(丁寧文)も定かでなく、柔らかい表現をする「なあ」や感嘆詞「てえ」を付ける事ができない窮屈な表現となります。日本語訳としては軽い疑問を表わす「―かい」が適切かもしれません。
例文@ 「油断」は「油断」という意味の他、「怠慢」という意味にも転用されています。
例文B 「やまがりとおん」は「やまがりゆん」の進行形です。「やまがりゆん」は『沖縄語辞典』にはありませんが、「やま(野生、野蛮等)」から「やまちりゆん(混乱する、収拾がつかなくなる等)」と関係ある語です。
例文C 「パソコンでぃしえ」は厳密には「パソコン んでぃしえ」となりますが、「ん」の連続をさけた表記にしてあります。
例文D 「新垣」は平民は「あらかちい」と語尾を引っ張り、士族は「あらかち」と語尾を短く言ったとの事です。平民しかいない現代ですが、私たち平民は今でも語尾を伸ばして言います。例えば、私(比嘉清)は、小学校の頃から現代に至るまで、同級仲間から呼ばれる場合は性は「ふぃざあ」、名は「きよしい」なのです。
【応用問題】
次の文を疑問助詞「い」を用いる文に直しなさい。
@変気(ふぃんち)そおしえ、あぬ童(わらび)どぅやんなあ。
A病院(びょういん)や養生(ようじょう)(註1)する所(とぅくる、とぅくま)どぅやみ。
Bなあ、済(し)むみ、あんまあ。
C今度(くんどぅ)お、世(ゆ)果報(がふう)やんてえ。
D良(ゆ)う燃(め)えゆしえ、木薪(きだむん)どぅやんなあ。(註2)
答え:
@変気そおしえ、あぬ童い。
A病院や養生する所い。
Bなあ、とおい、あんまあ。
C今度お世果報い。
D良う、燃えゆしえ木薪い。
日本語意訳:
@だだをこねているのはあの子かね。
A病院は治療するところかい。
Bもういいかいお母さん。
C今年は豊作かね。
D良く燃えるのは薪かい。
註1:「養生」は「治療」という意味に転化しています。註2:「木薪」は『沖縄語辞典』にはありません。