日本語
@ 私はラジオを聴きながら、掃き掃除をします。A 母は食事をしながら、お喋りしていらっしゃいます。
B 妹は電話をしながら、メモをとっています。
C 父は頭を掻きながら、詫びていました。
詫びていた。
D 従弟は重いものを持ちながら、体を鍛えています。
E 子どもは叫びながら、走り去った。
うちなあぐち
@ 我(わん)ねえ、ラジオ聴(ち)ちゃがなあ、掃(ほう)ちかちさびいん。A 母(あんまあ)や、むぬ食(か)まがなあ、ゆんたくしんそうちょおん。
B 妹(ゐなぐうっと)お、電話(でぃんわ)さがなあ、物書(むぬか)ちょおいびいん。
C 父(すう)や頭掻(ちぶるか)ちゃがなあ、言(い)いわきとおみせえたん。
言いわきとおたん。
D 従弟(いちく)お重物持(んぶむんむ)ちゃがなあ、胴(どぅう)頑丈(がんじゅう)らちょおいびいん。E 童(わらび)え、叫(あ)びやがなあ、走合(はあええ)なてぃ去(は)いたん。
【解説】
「―しながら」はこの「―がなあ」はじめ複数の言い方があります。「がなあ」の前の動詞は連用形+存在動詞(日本語の形容動詞に似て且つ存在「ある」の意味を含む、参第63〜64講)の連用形「や」が結合したものと考えられます。例えば「さがなあ(しながら)」の「さ」は「しや」が「さ」に、「聴ちゃがなあ」の「ちゃ」は「聴ちやがなあ」の「ちや」から、「飲まがなあ」の「ま」は「飲みやがなあ」の「みや」から「ま」になったと考えられます。そして、例文Eのユン動詞「叫びやがなあ」こそは変形がなく本来の形だと考えられます。「がなあ」について『沖縄語辞典』では「接尾」と説明されていますが接続助詞のような働きもあります。別例:「有いがなあ」の「い」は「や」の変形。
同じような意味を表わす別形、「―がちい、―がしい」は第42講で紹介します。
例文B 「妹」は「うっとぅ」又は「ゐなぐうっとぅ」。参考関連記事71頁及び第96講。
例文C 「いいわきゆん(言い訳ゆん)」は沖縄語では「詫びる」、「謝る」等に転じています。
例文E 「走合なてぃ去いたん(走り去った)」は慣用句です。元々、「走ゆん」(ユン動詞)は、「月ぬ走いや馬ぬ走い」等と人間以外に使います。人間には必ず、「走合なゆん」、「走合すん」等と使います。前者は「走合」を名詞に、後者は動詞の「語幹」にしています。ちなみに、「はゆん」を人間に使う場合は「去る」という意味になります。(この意味としての「はゆん(去ゆん)」は『沖縄語辞典』には載っていません。)
【応用問題】次の日本語文を沖縄語文に直しなさい。答えは下欄です。
@ 彼はお金もありながら、ケチだな。
A 叔母と相談しながら、決めたいと思います。
B 女は時計を見ながら、待っていました。
C 目を閉じながら、片足で立ってごらん。
D よそ見をしながら、運転するものではない。
答え:
@ あり・彼え、じん・銭ぬん、有いがなあ、いやさあやっさあ。(註)
A をぅば叔母まあとぅそうだん相談さがなあ、ち決わみらんでぃ、うむ思とおいびいん。
B ゐなぐ・女おとうちい時計ん見じゃがなあ、ま待っちょおいびいたん。
C みいく目閉やがなあ、かたびしゃ片足し、立っちんでぃ。
D よくみ横見さがなあ、くるま車あ歩っかするむのぬおあらん。
注:「けち」は「いやさあ」と「いびらあ」を良く使いますが、「握(にじ)らあ」、「銭(じん)五十(ぐんじゅう)」等もあります。「握らあ」は金を握り締めて離そうとしない者、「銭五十」とは「五十文(一厘)でも惜しむ事」の譬えからきています。
@ 彼はお金もありながら、ケチだな。
A 叔母と相談しながら、決めたいと思います。
B 女は時計を見ながら、待っていました。
C 目を閉じながら、片足で立ってごらん。
D よそ見をしながら、運転するものではない。
答え:
@ あり・彼え、じん・銭ぬん、有いがなあ、いやさあやっさあ。(註)
A をぅば叔母まあとぅそうだん相談さがなあ、ち決わみらんでぃ、うむ思とおいびいん。
B ゐなぐ・女おとうちい時計ん見じゃがなあ、ま待っちょおいびいたん。
C みいく目閉やがなあ、かたびしゃ片足し、立っちんでぃ。
D よくみ横見さがなあ、くるま車あ歩っかするむのぬおあらん。
注:「けち」は「いやさあ」と「いびらあ」を良く使いますが、「握(にじ)らあ」、「銭(じん)五十(ぐんじゅう)」等もあります。「握らあ」は金を握り締めて離そうとしない者、「銭五十」とは「五十文(一厘)でも惜しむ事」の譬えからきています。